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September 25, 2004

「混合診療」 肝炎患者は?

 9月になって、新聞紙上で「混合診療」という言葉が目に付くようになってきました。
 肝炎・肝がんの治療は、日進月歩。日に日に新しい治療「成績」が学会などで発表され、報道もされます。
 肝がんや肝硬変などで亡くなる方が5万人に迫ろうとしている昨今、少しでも最新の治療で肝炎や肝癌を治したいというのが患者の心理です。
 しかし、日本では「皆保険」、保険診療で認められている治療法が、肝臓病治療の技術の水準に追いつかないのも実態です。
 そのような中で、進んだ肝がんの患者や家族のなかから、「混合診療」を認めて欲しいという声も出ています。
 患者会で療養相談を担当していて、この「混合診療」に悩まされています。

 「混合診療」肝臓病患者でみると、保険診療で認められていない治療法、例えば肝炎で言えば、「瀉血療法」や外国で使用が認められている抗ウイルス療法、肝がんでは「新しい治療針でのラジオ波治療」、「抗癌剤とインターフェロンの併用治療」、肝硬変でのインターフェロン少量長期投与による発がん予防」等など。
 これら、保険診療で認められていない治療法と保険診療を同一医療機関で行うことを言うようです。これが現在は日本では認められていません。
 小泉首相は、この混合診療を行えるようにするために今年中に「結論を出せ」と指示したそうです。

 「混合診療」、いいように思うのですが、これが認められると、国や地方の医療財政が圧迫されると(すでに圧迫されています)、新しい治療法の保険診療への承認に抑制がかかるのではないでしょうか。
 すでに保険診療承認作業(中医協)などで、今年4月、「C型肝炎への瀉血療法」の保険適用について、ストップがかかりました。理由は漏れ聞くところ、「ラジオ波治療の保険適用もでているから、今回は1つだけ」だそうです。それで「展開針でのラジオ波治療」が保険適用になり、「瀉血療法」の保険適用は見送られました。

 インターネット上でのニュース報道で最近話題になった「グーグルのニュース報道」で「混合診療」を検索してみますと、

ロイター
 小泉首相、混合診療について年内解禁の方向での検討を指示=竹中担当相

日経
 ・「混合診療年内解禁に向け議論を」首相が諮問会議で
 ・日経 首相「混合診療の解禁、年内に結論を」
 ・日経 厚労相、混合診療の全面解禁に反対

経団連タイムス 
 ・社会保障制度等の一体的改革へ-日本経団連が提言発表

しんぶん赤旗
 ・「いい医療」金次第 政府方針の「混合診療」
 ・政府・財界が狙う 市場原理の導入 医療に何をもたらす
   アメリカの実態から考える=上=
     前ハーバード大医学部助教授 李 啓充氏に聞く
 ・「混合診療」「株式会社の病院経営」弱者が排除される
   アメリカの実態から考える(下)
     前ハーバード大医学部助教授 李 啓充氏に聞く

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Comments

瀉血療法は保険適用になってないのですか…
そうすると私のようにIFNで著効を得なくって、強ミノ等でも
効果がなかった者に取っては、著効を狙わずにIFNで肝機能値
の低下を図る位しか保険枠内では、手がないです…
医療費の抑制にはどっちがいいのか?という問題はありますが
IFNの場合、副作用も出るのでそれを抑える薬とかも必要に
なるので、そうすると瀉血療法を認めた方が医療費の抑制に
なると思いますがね。表面上の数字だけを見て考えてる人には
わからない事なのでしょう…
ウイルス量の測定も月1回しか保険適用になりません。前回の
IFNで途中から数値が上がったのですが、たまたま大きくなった
のか、本当に増えているのか?を科学的に捉えるには少なくとも
3回連続で増えている事を確認する必要があると思います。
せめてIFN中は月2回に緩和してもらえれば、2ヶ月近くは
中止するのを早める事が出来たのですが…保険適用の範囲
内できちんと治療するとかえって総医療費が高くなるケースも
あります

Posted by: ネコ | March 13, 2005 02:17 AM

 ネコさん、コメントありがとうございます。
 保険診療の矛盾はたくさんありますね。
 インターフェロン製剤の添付文書には、治療開始後の一定期間で効果がなければ、投与を止めるように記載されているものもありますね。

 私が3/20に大阪府と難病団体主催の「混合診療を考えるつどい」で、公的医療保険制度の拡充のことでお話ししたレジメに示した肝臓病での保険適用外項目として例示したものは、以下の通りです。
-----------------
Ⅱ.患者会に寄せられた保険診療に認められていない治療法 
1.肝炎の治療では
 ・C型慢性肝炎における肝炎の沈静化→C型肝炎における除鉄(瀉血療法)
 ・C型慢性肝炎におけるウイルス排除を目的とした免疫抑制剤+インターフェロン治療 
 ・ウイルス肝炎におけるウルソ600~900mg/日の服用 
 ・肝炎の沈静化とウイルス除去 B型肝炎におけるペグインターフェロン治療
 ・肝硬変におけるインターフェロンの少量長期投与 線維化と発がん抑制 
2.肝がんの治療(発がん・再発予防も含める)
 ・進行した抗がん剤(動注化学療法)とインターフェロンの併用
 ・発癌予防→ビタミンK2、複合カロチノイド、インターフェロン
・再発予防→非環式レチノイド、ビタミンK2 、インターフェロン、サリドマイド
・放射線治療 (定位放射線治療)、粒子線治療、強度変調放射線治療など
・集学的治療→上記治療法に加え、ハイパーサーミア、養子免疫療法など

 これらは、私たち患者会が相談などで得られた例である。保険診療では受けられなくて、これらを併用すれば、すべて自費診療になる可能性もある。

Posted by: sin | March 15, 2005 06:19 AM

私も混合診療には基本的に反対です。
この人はお金がないから、この治療ができないということが、日本の医療の中にもたらされれうことは、患者さんにとっても医師にとっても多くの場合不幸なことになるだろうと考えています。

あと、ネコさんのコメントですが、ウイルス量の定量が月2回になると治療の選択が変わるかというと疑問です。

Posted by: 加藤眞三 | March 21, 2005 02:44 PM

加藤先生、コメントありがとうございます。
 また、慶応での教授ご就任、おめでとうございます。
 先生の新任地での「肝疾患に関する運動マネージメント」のご研究に期待しております。

 ウイルス量の測定、そうですね。月に2回、検査して早く治療を中断するかどうかだけのようです。
 インターフェロン治療と肝発がん抑制がもっとも重要な治療目的になるのではと私は思っています。
 インターフェロン治療は、以前よりも治療効果を求めるために、治療期間が長くなってきています。
 そうすると副作用と治療費の高額化で医療継続を続けられない方も増えてきています。その対策をどうするか。効かない(ウイルス排除ができない)のなら、早く中止したいと思うのも患者心理ではないでしょうか。

 

Posted by: sin | March 21, 2005 05:31 PM

加藤先生、sinさんありがとうございます。

私も混合診療に関しては、認可されていない抗がん剤等の特殊な例以外は反対です。(これは時間との戦いなので。また、将来的には認可された段階で、なんらかの補填が出来ないか?という点も検討出来ないものか?と思います)

ウイルス量の測定に関してはsinさんが書かれているとおりなのですが、自分のその時の状態はIFNの副作用が酷くて会社を休職しており、確実に増えていると確認出来るのに3ヶ月以上(実質検査結果待ちを含めて約4ヶ月)掛かったという事があります。
これが月2回の測定が認められていたら、増加してから約2ヶ月で治療を一端中止するなり、別の治療方法(著効を目指すのではなく、維持を目的とする為、リバビリンとの併用ではなく、IFN少量投与にするなど)を取れたのでは?と考えております。
素人の考えかもしれませんが、医学には関係はありませんが、一応理系の人間なので、確実に判定するには3回連続で増えているという事が著効に今回の治療ではならないという判断で主治医とも一致しました。
単純にIFN中に2回までではなくて、途中でウイルス量が増加した時以降(減少に転じるまでは)2回まで認めてくれればと思います。

瀉血に関しては、自分はIFNで肝機能値が正常化するのは、もしかしたら、IFNの副作用で赤血球が破壊され、それを補う為に造血作用が亢進され、その為鉄分が消費される為に、改善されるというのも一因では?と思ってます(これは主治医とも話していない完全な素人考えです)ので、もし、そうであれば、確実に副作用があるIFNより、体の面でも医療費の面でもいいのでは?と愚考しています。

Posted by: ネコ | March 22, 2005 01:21 AM

 インターフェロン治療と保険適用の問題では、インターフェロンに対する中和抗体の測定も認められていません。
 中和抗体に対する評価(治療効果への影響の可否)の問題もあるのでしょうか。
 私が治療を受けていた10年ほど前、B型肝炎では28本投与しか保険適用がありませんでした。
それをイントロンAで2か月半かけて治療を受けていたのですが、主治医からメーカーの申し出でインターフェロン中和抗体を測定させてほしいと問われました。中和抗体ができるとインターフェロンの効力が落ちてしまうというのがその時の説明でした。イントロンAでの治療は5回ほど受けましたが、中和抗体はできなかったようです。
 最近は、インターフェロン中和抗体の話題が出ませんが、問題ないのでしょうか。
 ネコさんはこのことについてどう思われますか。

Posted by: sin | March 22, 2005 07:48 AM

中和抗体に関しては、ネットでいろいろ調べてみましたが、果たして効きが悪くなるのか?効かなくなるのか?が自分では、はっきりわかっていません。
ただ、自分の場合は過去2回IFNをやりましたが、2回とも途中からウイルス量が増加しています。
どちらも投与当初はウイルス量が大幅に減少しているので、全く効いてない訳でもなさそうですし…これが抗体が出来たせいなのか?IFN治療に対して感受性が低いタイプのウイルスなのか?はわかりません。
中和抗体の測定に関しては、抗体が出来ていた場合にIFN投与は認められないとなるでしょうから、自分の場合は(瀉血が認められていない状況では)IFNでGPT、GOTは改善出来てますので、抗体が出来た場合の投与が認められなくなる恐れがある検査なので、個人的には反対です。ただ、何度も繰り返す形になりますが、IFNを月2回にすれば、著効が期待出来ないという事も早期にわかると思いますので、その段階で治療を一時中止するなり、少量長期の投与に切り替えて肝機能の値を維持するなりすればいいので、それで足ると考えています。
また、医療費抑制という観点では、C型の場合、リバビリン濃度が著効に影響があるという説もありますので、本来だったら、その説が有力であるなら、一定期間の投与対象に対しては測定を行ってそれをフィードバックすべきでは?と思います。患者にとっては採血の本数が1本増えるだけですので、安全性にも問題は少ないと思いますので。

Posted by: ネコ | March 22, 2005 09:19 PM

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