ハンセン病元患者 高率にC型肝炎に
熊本日日新聞9月6日付に、「もう1つのハンセン病被害 C型肝炎、隔離下でまん延 感染率3割の療養所も」の記事が掲載されています。
内容を要約紹介しますと、
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全国の国立ハンセン病療養所で、C型肝炎ウイルスに感染した入所者が、多い所で全体の3割に上っている。閉ざされた状況下で医療が行われたことが感染をまん延させたとみられ、強制隔離政策がもたらした被害の一つ。国には、法的責任に基づいた治療体制の整備が求められている。
8月下旬、東京都内で開かれたハンセン病問題対策協議会。
療養所のC型肝炎問題は、自らも10年以上、C型肝炎と闘う國本衛さん(77)がハンセン病国賠訴訟の中で問題提起し、注目を集めた。
この問題で、厚労省が重い腰を上げたのは、2001(平成13)年5月の熊本地裁判決後。同年10月から翌5月にかけ、全国13の療養所で初の感染実態調査を実施、その結果は驚くべき数字だった。
入所者3607人が検査を受け、感染が分かったのは423人。感染率は11・7%に上った。最も高かったのは松丘保養園(青森市)の29・0%。菊池恵楓園(菊池郡合志町)は15・2%だった。日本のC型肝炎の感染率は1―2%とされ、療養所内の高さが際立っている。
原因として考えられるのが、療養所内で過去に行われた注射針の使い回しだ。戦前から戦後にかけて、列をなす患者の腕や太ももに次々と治療薬の注射が打たれた。しかし、針が消毒されることはなかった。
國本さんは「らい菌検査で使うメスの消毒不足も原因の一つ」と指摘。恵楓園入所者自治会の太田明会長(60)も「医療現場が狭い療養所の中に限られていたことが、C型肝炎の感染拡大につながった」と隔離政策が生んだ被害を強調する。
これに対して、厚労省の見解は否定的だ。「感染率が高いのは事実だが、患者の入所までの生活歴は様々で、感染原因を決めるのは困難。隔離政策との因果関係も特定できない」と反論する。
ただ、厚労省も事態の深刻さを認め、02年度からC型肝炎対策費を予算に盛り込んだ。本年度も治療薬費や外部の病院への入院委託治療費など2億7千1百万円を計上している。
C型肝炎は、肝硬変から肝がんに進行するケースが多い。「私たちには時間がない。地裁判決を踏まえ、国には一日も早く治療体制を整備してほしい」と國本さん。
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