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November 06, 2004

「混合診療」をどう考えるか

 規制改革・民間開放推進会議(議長・宮内義彦オリックス会長)は11月5日、保険診療と自由診療を組み合わせる「混合診療」の解禁を厚生労働省にあらためて申し入れたと発表しました。(日経新聞04/11/06)
 規制改革・民間開放推進会議は10月22日午後、厚労省の会議室で、公的な健康保険が利く診療行為と自由診療とを併用する混合診療の解禁について、厚生労働省との公開討論を開きました。(日経新聞04/10/23)

 一方、日本医師会など医療関係団体は、10月19日に「国民医療推進協議会」を発足させ、「混合診療が自費診療の拡大と私的保険の拡大につながり、将来的には公的保険へ未加入問題が発生する懸念があると指摘し、新薬や新たな医療技術を迅速に保険導入するためにルールを見直すことで患者・国民のニーズに対応すべき」として、署名運動を全国展開し、現在開かれている国会に提出するとしています。(社会保険旬報04/11/01)

 がん患者など命をつなげることに時間のない患者や家族は、日本では承認されていない抗ガン剤や治療法で海外では有効とされる治療を今すぐにでも受けたいのですが、「混合診療」が認められていないなかで、一定のガイドラインを作って、保険診療外の治療法も今利用している医療機関で認めてほしいという強い希望を主張されている方もおられます。

 私は、患者会で療養相談を受ける中で、療養に対する医療費負担に苦しむ患者や家族を目の当たりにして、「混合診療」の導入は、一層患者や家族が経済的に追い込まれることになるのではと危惧しています。
 でも、保険診療では瀉血療法や保険適用になっていない治療法を受けられない現状を目の当たりにすると、どうしたらいいのか困ってしまうこのごろです。

 混合診療の解説(日本医師会)
 04/11/22 「 「いわゆる「混合診療」の解禁」に関する厚生労働省との意見交換」での資料集

 日本がん患者団体協議会(JCPC)の混合診療解禁に向けて政府に「要望書」を提出しました。その内容は以下の通りです。

    混合診療についての要望書
                            2004年10月15日

 厚生労働大臣 尾辻秀久 様

 NPO法人 日本がん患者団体協会(略称JCPC)は、患者本位の医療の実現を目指して、2002年に発足し活動を続けております。
 さて、政府の規制改革・民間開放推進会議は規制改革に関し、保険診療と保険外の自由診療を併用する混合診療の今年度中の全面解禁などを求める決定をし、さらに小泉首相もそれを推進するとの発表がございました。
 混合診療に関しては、厚生労働省側は「安全性が確保されない」とし、同省の指定病院における一部の高度先進医療などに限る制度の拡充で対応すべきだとのご意見と聞いております。
 例としてがんの患者などでは、その病の特徴(放置しておけば命にかかわる疾患)により以前から『国内で全ての治療をやり尽くしてしまった』『欧米で承認され日本国内未導入』の薬を個人輸入をして自由診療として使っていた経歴がございます。
 よってがん患者を含む多くの患者会より、混合診療を望む声は多く過去に出ていた事と思います。
 しかし、また日本における国民皆保険制度は世界へ誇れる良い制度であり、これを守る必要も多くの患者団体としては感じております。
 例えば

・ どの医師が使うのか? (専門医などの問題)
・ どの病院で使うのか?
・ どのような患者を対象とするのか?
・ どのような薬を認めるのか (FDAやEUの承認薬など)
・ 混合診療承認決定後、その薬を保険診療とするための臨床試験・申請を行わせるための制度や、正式承認されるまで、全症例調査を課し、副作用などの情報を収集するための制度が必要

等がハッキリとしなくては、患者にとって信頼性は確保されません。
 そこで患者団体としては、混合診療全面解禁や反対というステレオタイプの見方ではなく、真に患者本位の医療を実現するために患者は何を望んでいるかを提案したいと思います。

 全ての日本国民は国民皆保険制度の元、最良の治療を保険診療でまかなう事を望んでいます。
 しかし、医学の進歩は早く、行政が承認などの手続きに迅速に対応できない場合があり、保険未収載ではあるが,専門医の間で効果が認知されている(欧米でのエビデンスがある)治療法の実施を望む患者もいるのが現実であります。
 また科学的な根拠の無い一部のほとんど自費診療のかたちで扱われている代替医療や統合医療といった分野が、混合医療にどのように関わってくるかも未定です。
 そこで専門家や患者団体を交えた検討会を設置していただき、審査の過程をオープンにすることで透明性を担保し、患者が望む患者本位の混合診療とは何かを、また患者が信頼の置けるシステムの整備を図ることなども含めて、充分に論議していただきたいとお願いいたします。
 これらの改革(委員会・検討会の設置等)は、医療消費者である患者と、医療提供者や保険者・行政が平等な立場で共に協力し環境を整え、国民のコンセンサスを得る事が信頼性と透明性の確保をするためには一番必要と考えております。
 全ての医療関係者の基本理念である『患者本位の医療』を目指して、1日も早く今回の改革を実現に移し、透明性の高い国民に開かれた医療を推進していただきたくいただきたく要望します。

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