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December 10, 2004

患者の足下をねらう商法 C型肝炎版

大阪城のお堀
 フィブリノゲン納入先医療機関リストが公表されました。  多くの報道機関が特集を組んだりしていただいてC型肝炎ウイルスの検査を受けるように呼びかけています。  新たに感染しているキャリアの方が見つかり、治療に結びつくことを願っています。

 このような報道で、C型肝炎患者は一層不安になります。患者の多くは感染源がわからないからです。納入先医療機関が積極的に、残っている過去のデータを調べなおし、フィブリノゲンを投与した患者にそのことを伝えるべきです。
 一方では、このような報道の中で、これを利用し、民間治療法をC型肝炎患者に売り込もうとする「足下商法」がはびこってきています。

 患者会で療養相談を受けておりますと、中国で作られ販売されている薬「BDD」に関するものが目立ちます。
 個人輸入で手に入れて毎日数粒服用すると、肝酵素のGPT値が正常化するというのです。
 長く服用されている方からの相談では、GPT値は正常化するが、GOT値は正常化せず、血小板数は低下してくるとか、GPT値は長く正常化しているのに肝がんが出てきたとか、というものです。

 10月に大阪で開催された日本肝臓病患者団体協議会の全国交流のつどいに来賓で挨拶された日本肝臓学会理事長・林紀夫先生(大阪大学教授)は、このBDDに触れられ、健康食品などの摂取に注意が必要だと強調されていました。
 理由は、アメリカの有名な医学雑誌に掲載された研究では、このBDDは、血液中の肝酵素のGPTを分解してしまう作用があること明らかにされたそうです。
 肝炎が起こって肝細胞が破壊され、その中のGPTが血液中に放出され、その量の多少で肝炎の増悪を推しはかろうとする肝機能検査。BDDが、この血液中のGPTという酵素を破壊してしまえば、血液検査をしても肝臓の増悪をキャッチすることができなくなってしまうわけです。
 これでは、治療のきっかけを失ってしまい、肝炎を進ませ、肝硬変や肝がんに進行させてしまうことにもなりかねません。
 このような「物質」を放置しておくことは許せないことです。
 肝臓学会や厚労省が、このような「物質」にもきちんと対応できるようにしなければならない時期だと思います。

 

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Comments

 私共はBDD を服用中及び服用経験を持つC型肝炎患者です。貴紙(2004年12月10日)には「日肝協第14回記念講演」の一部を引用して「米国の有名な医学雑誌に掲載されたBDD研究」が短く紹介されています。事実、貴紙の内容に大きなショックを受けた服用者は少なくありません。私共は早速その事実関係の調査を行った結果、講演内容に事実誤認があることが判明しました。今回その結果を報告するものです。

(1)「日肝協第14回記念講演」(以下「記念講演」)でのBDDに関する講演内容:
 「記念講演」の内容は講演冊子で正確に確認できました。その文中に「米国の有名な医学雑誌に掲載されたBDD研究」の要約として、『 (BDD)はGPTを正常化してくれが、肝臓の病気は全然よくなっていない。この薬は血液中にあるGPTを分解して下げているだけである。だから肝臓の炎症を抑えてGPTが下がっているのではない』と説明されています。私共はこの説明を問題視しています。

(2)「米国の有名な医学雑誌に掲載されたBDD研究」(以下「米医学雑誌」)の特定:
 「米医学雑誌」に掲載されたBDD研究の特定作業は、米国立医学図書館の検索エンジン(Pub-Med)を使用して行われました。その結果、上記(1)の「米医学雑誌」とは同図書館に収録されている「Hepatology 39:1732-1733,2004」(以下「文献Hepatology」)とほぼ特定することが出来ました。この文献はドイツのフライブルグ大学の研究発表で、患者数も少なく(13名)、投与期間も短い(3ヵ月)短期的な臨床研究で、BDDには否定的と思える内容でした。

(3)「米医学雑誌」の最終特定:
 「講演冊子」に掲載されたBDD研究の要約は、関係者に問い合わせの結果、上記(2)の「文献Hepatology」に掲載されているが原著論文でない」ことが最終的に確認されました。中国、エジプト等では、このドイツ臨床研究を上回る大規模な長期的臨床試験も行われ、その結果も発表されています。又、BDD治療に関しては、日本でも過去に2件の臨床試験が発表されています(「日本消化器病学会誌86(4)965、1989」及び「日本医事新報No.3841 30-32 平成9年12月6日」)。 客観的見地から是非これらの研究成果も「講演冊子」に引用して頂きたかった。

(4)「文献Hepatology 」の精査:
 上記(1)で明らかなように、「講演冊子」では「BDDは血液中のGPTを分解して下げるだけである」と記載されています。これが非常に問題となるポイントです。しかし「文献Hepatology」にはこのような記述なく、客観的事実として上記「講演冊子」に掲載された要約には事実誤認があります。これは意図的なものではなく、何かの誤解と考えたいと思います。この「文献Hepatology」ではGPT降下作用が「in vitro実験でBDDは肝細胞内のGPTの合成及び分解またはどちらかに影響を与えることを示唆している」と説明されています。要約ではこの点が無視されています。このBDDのGPT降下作用を詳細に研究した海外論文もあり、Pub-Medでの検索も可能です。

(5)現在検索可能なBDDに関する文献:
Pub-Medで検索すると「文献Hepatology」を含む合計64件の米国立医学図書館収録のBDD文献(英文)を検索する事が可能で、現在BDDに関する情報量は非常に多いと思います。Pub-Medで検索できないBDD文献も他に存在します。多くのBDD文献/資料を検討した限り、この「文献Hepatology」だけがBDDには否定的な文献と思えます。意図的にこれだけを引用したとは考えたくありません。余談ですが、貴紙(2004年12月10日)ではBDDを「物質」と表現がなされていました。妥当な表現ではないと考えます。因に私共の調査では、BDDに関しては1992年10月13日に米国特許(5,155,111)が認められていました。米国特許申請資料にはDNAレベルでの研究結果も詳細に記載されていました。

(6)「薬理作用」の調査
 上記(1)の要約に関連して、これまでに発表されている文献/資料等を調査しました。その主要点を下記します。参照先は米国立図書館収録文献PMID3451287、3448395、3614253、3450481など及びこれらに関する詳細文献/資料などです。その主要点を下記します:
・マウスを使用した実験では、四塩化炭素による肝臓損傷を軽減し、GPT(ALT)  
 の上昇を抑制する効果がある。
・また四塩化炭素による肝臓ミクロソーム脂肪質の過酸化や四塩化炭素の代謝によ
 る一酸化炭素への転化を抑制する作用、および四塩化炭素の代謝過程で発生する
 還元型補酵素IIや酸素消耗を低減する効果があり、肝細胞膜を保護する構造と機
 能を備えている。
・プレドニソンによるGPT値の上昇を抑制する効果があり、肝臓の一部を切除した
 マウスの肝再生を促進する作用も見られた。
・上記のような効用が見られた場合、それは肝臓組織の損傷を軽減したことによる
 反応である可能性が高い。
.本品にはシトクロムP450の活性化を誘導する顕著な効果があり、四塩化炭素や
 がん誘発物質の解毒機能を強化する作用もある。
・一部の肝炎患者については、蛋白代謝作用を改善し、アルブミンを上昇させ、グ
 ロブリンを降下させる効果がある。
.トランスアミナーゼ低減作用は、血清トランスアミナーゼや肝臓GPTの活性化を
 直接抑制するものではなく、また血液中の GPTの非活性化を促すものでもない。

(7)調査後記:
 このBDD治療は現在中国、エジプト、韓国などでは一般的です。特に中国、エジプトでは日本のような医療保健制度が完備されていないため、高価なもインターフェロン治療が普及せず、BDD治療が普及していると聞きます。このため肝炎治療薬としてBDDの研究も推進されているようです。又、先進諸国でもBBD使用もも増加しているようです。一方、日本でもインターフェロンでの治療効果は約50%と報道されていますが、この薬が効かない患者に対する治療対策はどうなるのでしょうか。インターフェロン治療は万能ではないはずです。インターフェロン無効者に対するな代替医療の積極的な研究を切に望みたいと思います。       

以上/事実関係調査に係ったBDD服用者一同

Posted by: bddnetwork | April 09, 2005 at 10:20 AM

  bddnetwork様
 コメントを拝見しました。当ブログは、私の私的なブログです。
 日本肝臓病患者団体協議会が発行する会報「肝臓のなかま」に対するご意見は、申し訳ありませんが、下記住所まで書面でお届けいただきますようにお願いします。
 また、ご指摘のBDDに関することについては、10月9日に行われました日肝協代表者会議での来賓にお見えになた学会理事長の挨拶と記念講演で同趣旨のことをお話になられました。それを紹介したものです。
 同日行われた記念講演でも講師の先生が詳しくBDDと肝炎のことについて説明され、各地の患者会の会報で講演録が掲載されています。
 いただきましたコメントについては、日肝協事務局にお届けしておきますが、あなた様からも、できましたらお届けくださいますようにお願いいたします。

 日肝協の住所
  161-0033 東京都新宿区下落合3丁目14-26-1001
  日本肝臓病患者団体協議会

Posted by: sin | April 09, 2005 at 11:12 AM

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